根岸鎮衛による『耳嚢(みみぶくろ)』
根岸鎮衛
江戸時代中期から後期の旗本、勘定奉行、南町奉行を歴任。江戸の珍談・奇談1000話を集めた『耳嚢(みみぶくろ)』の著者として名高い。下級旗本の子として生まれ、根岸家の養子となったといわれる。努力して出世し、勘定奉行からさらに南町奉行となり、18年もの長きにわたって勤め上げ、下世話に通じ「名奉行」として人気を博したという。鎮衛は任務のかたわら亡くなる直前までの30年以上にわたり、同僚や古老などから聞き取った珍談・奇談を帳面に書き取り、『耳嚢』としてまとめた。その内容は、怪談、笑い話、人情話、英雄の逸話など幅広く、妖怪や幽霊なども登場する。ユニークな人物像の鎮衛は、同じく南町奉行だった大岡越前こと大岡忠相と同様に講談などに登場し庶民の人気を集め、後世、小説や時代劇ドラマにもしばしば登場する。鎮衛が登場する主な作品に、NHKの時代劇ドラマ『はやぶさ新八御用帳』、テレビ時代劇シリーズ『南町奉行事件帖 怒れ!求馬』、落語『鹿政談』、小説『霊験お初捕物控』(宮部みゆき)など。墓所は東京都港区六本木にある善学寺。
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