東郷重位の肖像画
東郷重位
江戸時代初期の剣豪、薩摩藩・島津家の家臣。薩摩藩の“御留流”「示現流剣術」の開祖として知られる。幼名は弥十郎、通称は藤兵衛のち長門守、和泉守、越前守、肥前守。島津家の家臣・瀬戸口重為の子として生まれ、若い頃に「タイ捨流剣術」を学んだ。藩主・島津義久の上洛に従った際、3年におよぶ滞在の間に天寧寺の僧・善吉から「天真正自顕流」を学び印可を得る。帰国後、ひとり創意工夫を重ね、先手必勝、最初のひと太刀に全力を尽くす「示現流」を創始した。「示現流」は複数の敵との戦いを前提にした極めて実践的な流派で、土中に埋めた立木をひたすら打つ「立木打ち」と呼ばれる稽古を基本とした。1604年(慶長9)、藩主・島津家久の御前でタイ捨流師範・東新之丞と試合し、これを敗ると重位は島津家兵法指南となり、以降、薩摩藩では示現流が主流となった。剣術家として名をはせた重位は、非常に礼儀正しい人格者だったといわれ、藩政にも関わったという。墓所は鹿児島県鹿児島市にある草牟田墓地。なお、マンガ『新・子連れ狼』(小池一夫原作・小島剛夕作画)には重位をモデルとしたキャラクター(名は東郷重位)が登場する。
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