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華岡青洲『竒疾外療図卷 完』

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華岡青洲『竒疾外療図卷 完』

華岡青洲
江戸時代後期の外科医。世界で初めて全身麻酔による手術を成功させたことで名高い。青洲は号で、通称は雲平、諱は震(ふるう)。字は伯行。医家・華岡家に生まれ、京に出ると古医方を吉益南涯に、オランダ流外科を大和見立に学んだ。京での修学ののち、帰郷して生家を継ぎ開業。やがて麻酔薬の研究・開発に乗り出し、実母と妻による人体実験での検証を重ね、妻の失明という犠牲のうえに、ついに、マンダラゲの実(チョウセンアサガオ)などを配合した内服麻酔薬「通仙散」(別名「麻沸散」)を完成。そして、1804年11月14日(文化元年10月13日)、全身麻酔による60歳の女性患者の乳がん摘出手術を成功させた。これは記録に残るものとしては世界で初めてとなる偉業である。弟子の育成にも力を注ぎ、医塾「春林軒」を開設、門下生は1000人を超えるといわれ、本間玄調など優秀な外科医を輩出した。なお、青洲を題材とした小説『華岡青洲の妻』(有吉佐和子)はベストセラーとなり、青洲の名が広く知られるきっかけとなった。

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