円空の肖像画(大森旭亭 画)
円空
江戸時代前期の僧、仏師、歌人。「円空仏」と呼ばれる独特の木彫りの仏像の作者として名高い。円空は生涯に12万体ともいわれる仏像を彫ったといわれ、現在、北は北海道から南は奈良県まで全国各地に5300体以上もの円空仏が確認されている(特に愛知県、岐阜県に集中)。円空の生涯については諸説存在し確かなことはわかっていない。生地は諸説ある。一説に若くして出家し、尾張国の高田寺で修行、のち諸国行脚の修行に出て蝦夷地(現・北海道)へも渡ったという。その後、故郷の美濃へ戻り、弥勒寺を再興した。円空の代名詞ともいえる「円空仏」の特徴は、鉈一本で掘り出した「一刀彫」という独特の技法が生み出す野性味と素朴な表情にある。名古屋市守山区にある竜泉寺の「馬頭観音像」や同市中川区にある荒子観音寺の「木端仏」は円空仏の特徴をよく現す仏像として有名。なお、円空と同様に日本各地で仏像を残した人物に江戸時代後期の僧・木喰(もくじき)がいるが、木喰の仏像は表面を滑らかに加工した柔和な仏像で荒々しい円空仏と対比される。
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